4 生命のパイロット(2/3)

 それは、一緒に死のうとまでしたことのある自分自身の分身の生命いのちが、これまでの居場所だった道太郎の身体を離れて私に入ってきたということだったのでしょうか? それまで点……点……点…だったことの正体がはっきり見えた気がしました。息子がなぜ22年間も植物状態で生き続けなければならなかったのか、また、生き続けることができたのか。その答えを彼の生命いのちそのものから感じた瞬間に、このために私もまた生まれ、生かされてきたのだと悟りました。

 それは大いなる宇宙意志のひとつであり、転々として次々と受け継がれる愛という力が教えてくれる啓示のようなものでした。人の愛という行動エネルギーが息子を動かし、今は抜けていったけれど消滅したのではなく、生命いのちそのものの意志は継続して私たちを動かし続けることができるということを、です。

 その力が生命いのちをパイロットして、人類に「叡智」を授け、生死を決定していたのです。そのことを分からせてくれたのもまた、その力でインスピレーションとなってやってきたのでした。

 そのインスピレーションを自分の脳の理性の中で消化しながらも、息子を失ってしまった悲しさは、やはり涙となっていつまでも止みません。けれども、彼の生まれた意味、生きた理由、そしてその生命いのちをパイロットしていたもののことをほかの多くの人に伝えなくては、彼の生命いのちはこの場で消えたも同然だと気づかされました。涙に暮れている場合ではなかったのです。そう気づくと私は再び呼吸ができるようになり死から戻ってきました。