4 生命のパイロット(1/3)

 普通、母と子は出産で身体が別れたときから別々の人生を生きることとなりますが、冷たくなって横たわる道太郎は今まで一緒に生きていた自分自身の一部、分身だったんだと感じながら、気がつくと息のない息子に寄り添っていました。彼の意識を動かしていた生命いのちそのものは消えてしまったんだから「死」なんだ、と納得しようとしていました。彼が弟を愛していた心や私を思いやる心も同時に死滅してしまったのだろうか?と。

 その時です。「いいえ違う!」と、自分の内側の誰かが何かを伝えようと、力いっぱい動いているのを感じました。そして……信じがたいことに私は次の瞬間、道太郎の生命いのちが持っていた意識に気がついたのです。