4 生命のパイロット(3/3)

 私はその日を境に、あれ程いつも「死にたい」「早く楽になりたい」と思っていたのに、「生きたい」「生き続ける」という息子の生命いのちの意思が自分の中に移行してきたかのように感じ、生きている実感を強く持てました。道太郎が私に22年間かけて教えてくれたお陰でした。そして、これから私は道太郎の生命いのちの意志とともに生かされていくのだと知りました。それはもしかしたら遺伝子のようなものかもしれません。そのエネルギーは一人一人の人間の中にあって私たちを動かしていくからです。

 私はたまにしか泣くのを止めて、今をひたむきに生きようと思いました。生命いのちのパイロットの意志かもしれませんが、こうして子を親が見送る悲しさを、ほかの母親には味わせないためにいじめをなくし、彼の愛を伝えていこうと決められました。