人のプロは居場所族

「いってらっしゃい」

 自然の風も世間の風も強く当たりませんように。

 雨もそっとふり注いでね。

 ウジャウジャいる車にぶつからないで。

 フワフワ浮いているウィルスをうっかり飲み込んだり、いじわるされたりしませんように。

 そんなバリアを張りたい。

 だからギュッとハグするのかもしれない。ひとりひとりにね。

 研究所を訪れるひとりひとりに、

あなたはこの世にたったひとりしかいないってこと。

 あなたの代わりは誰もできないってこと。

 そして、

 どこかに必ずあなたの居場所があるということ。

 居場所がないって悲観しないで他の人の居場所を作ってごらんなさい、そうしたら、そこがあなたの居場所になるから。

 ―――そう伝えたいのです。

 はじめは、植物状態すれすれの息子ミッタロとその弟と私の居場所が欲しくって、ずーっと探していたのです。

 でも、その時はどうしても見つからなくってさびしかったし、途方にくれている自分がいたのです。

 だから、多くの人にそういう思いをして欲しくなくて、みんなの居場所を一生懸命作ろうって思いました。自分の居場所のことを考えないで、他の人の居場所を作ろうと一生懸命考え、一生懸命働いていて、気が付いたらみんなのために作った居場所の中に私と家族3人の居場所があると気が付きました。みんなが逆に作ってくれていたのです。

 家でともに暮らすのが家族なら、居場所を作り合うのは居場所族でしょうか。もちろん家族だって居場所がないって感じている人もあるから、居場所を作り合っている家族もやっぱり居場所族と言えますね。そして、それが本当の家族ということではないでしょうか?

 あなたのご家族は、居場所族? それとも、ただの家族?

 人に居場所を作ってあげられるのも、人のプロの大きな条件のひとつです。

 私は居場所族のひとりひとりの帰る後ろ姿に、

 「いってらっしゃい」

 いらっしゃった時は、

 「おかえりなさい」って迎えています。

 そして、ハグしています。

 心の中で「あなたも誰かの居場所にきっとなれるのよね」ってささやきながら・・・・・・。

 そして、毎日、自身の腹の虫の居場所をキチッとしましょうねって伝え続けているのです。