お母さんのおっぱい

よっちゃんのお食事も、おやつも、お母さんのおっぱいです。よっちゃんは、赤ちゃんで何にも食べられないので、おっぱいだけです。お母さんが果物を食べると、良いおっぱいが出るのよと教わりました。イチジクを食べたらイチジクのおっぱいが…、トマトを食べるとトマトのおっぱいが…、りんごを食べるとりんごのおっぱいが…、みかんを食べるとみかんのおっぱいが…出るの?!

 ある日、よっちゃんは、おむつにみかん色のうんちをしていました。においも、ちょっとみかんぽい感じでした。

「どおしてなの?」

「それは、お母さんがみかんを食べたからよ。それで、みかんのおっぱいになったの。」

(ふぅん、ほんとうなんだわ。)

「お母さんが病気になったら、病気のおっぱいになるの?」

「そうねぇ。たぶんそうなっちゃうんじゃない。」

「じゃあ、絶対、病気になっちゃだめよっ!!」

お母さんは笑いながら、心配事がなければ平気って言いました。ある日、小野さんのおばさんが、おもちを持ってきてくれました。

「おもちは、おっぱいがいっぱい出るようになるから。」と教えてくれました。果物のおっぱいの話しも、おばさんから聞いたのです。

おばさんは、よっちゃんが女の子でもあげられないって言われたので、ちょっとがっかりしたらしいのですが、おっぱいがよく出るという食べ物を時々届けに来て下さいます。

そのせいか、この頃ではよっちゃんも丸々としてきて(生まれたばかりの時も世界中でいっちばんかわいかったけど、今はそれよりも、もっともっと可愛い)

きょこちゃんはうれしく、そう思うのです。

いつも威張っているお隣の阿部ボクちゃんのことを、つくづく可愛そうだと思うようになりました。今までは(男の子でいいなァ)と考えていたのですが…。(お姉ちゃんにはなれないし、第一、よっちゃんという妹を持っていないですもんね。)

その阿部ボクちゃんが「きょこちゃん、豚屋さん所でおもち、まくって! 一緒に行こう。」と誘ってくれました。

 豚屋さんは、きょこちゃん家(ち)の右裏です。豚をどっさり育てている所です。豚の他には、ニワトリと犬と牛と、男の子を3人育てています。その豚屋さんの新しいお家の棟上げにお餅をまくのです。お餅は、白とピンクと2色まかれました。その他には、みかん、落花生、アメなどです。きょこちゃんはピンクのおもちだけを一生懸命に集めました。

「どうしてピンクのおもちだけしか集めないの?」

「だって、おもちは、よっちゃんの良いおっぱいになるんですもん。よっちゃん、すごぉーくかわいいのよ。だから、よっちゃんのうんちがピンクになると、もっともっとかわいいでしょ?」

豚屋のおじさんは、ワハッハッと笑うと、

「きょこちゃん家(ち)は、赤ちゃん生まれたんだよナ。よぉし、明日から毎日おいで。玉子をあげるから。」

「玉子って、おっぱいになる?」

「なるともさっ!! うんといいおっぱいになるよ。」

「お母ちゃん、おっぱいをどっさり作るから、髪の毛、抜けちゃったんですって…もっと抜けちゃう?」

いいおっぱいをどっさり作り続けるとお母さんの髪の毛がもっと抜けるのではと、ちょっと心配していたきょこちゃんは、聞いてみました。

「玉子を毎日2個ずつ食べれば、髪の毛、元に戻るさ。」

「わぁい、ホントにホントゥ? ありがとう、おじちゃん!!」

「それと、牛のおっぱいも飲ませた方がいいナ。ビン、持ってきたら、それもやるよ。」

「ありがとう!!」

(続く)