1 気づいてほしい難病のスタート時(2/3)
のびない肘を、必死にのばそうと努めて私の前につき出した両腕。それを見てハッと胸をつかれました。だってその腕はもう、人間の腕とは言いがたいほど変形してねじ曲って無残な形になっていたから。
膠原病の原因は免疫機構の伝達誤認なのですが、目を覆いたいほどの異様で無残な変化と苦痛を与えるこの難病も、スタート時は軽い風邪に似た症状だったと言います。
また別の、長期間食欲不振と軽い頭痛やだるさに悩んでいた40代の男性。彼は肝臓ガンから肺への転移で末期の苦痛がひどく、それから開放されたいと私の所へ訪ねて来ました。
「風邪と仕事の忙しさと一緒になってるんだと思っているうちに、手遅れ状態になっちゃったんですヨ。このぐらい大丈夫、仕事できるって程度だったもんで」
苦しそうにあえぎながら話し終えたときのこの人の顔は、本当に無念そうなお顔でした。
あのとき、もっと大事をとっていたら、って悔んでいる……。
あーっ、そうだ ―――― ほかの人もみーんなあのとき、もっと大事をとっていたら、あのとき気づいていたら、あのとき発見していたら ―――― ばっかりだって気づいたの。