3 それだけです
R子さんに他力本願でなく、自力本願で自分を守ること、脳の栄養素をたっぷり与えることをしっかり説明し、簡単に摂る方法をお伝えしました。そのほかの食事は、取ることができれば取るように、病院からの薬はキチンと飲むこと、さらに私の所へ一日2回決まった時間に電話をかけること、身体の調子が悪いと思う箇所を触ること、3つの言葉を一日5回以上言うことなどをお教えしました。
「えっ、それだけですか?」
R子さんは怪訝な顔をして言いました。
「そうよ。それだけよ」
「センセイ、いつまで続ければいいんですか?」
「死ぬまでね」
当然のことでしょうとの思いで、私は答えます。
「やっぱり、私ダメなんですね。もうすぐ死ぬんですね」
R子さんは肩を落として言いました。
「あらっ、誰だって明日の命なんてわからないじゃないの。今、こうして元気な私だって5分後の命はわからないのよ。お餅を喉につかえさせて窒息死するかもしれない、事故に遭って命を落とすかもしれないでしょう? でも、そんなことを考えてヤケになったり、身体を粗末にしたりしないわ。それはみんな同じでしょう!」
私も、あなたにお話ししたことと同じことをしているのよ。ただ私の場合、ほかの方と違うのは、私が誰かに電話をかけるのではなく、ほかの方から私にかかってくるってこと。それもひっきりなしにかかってくるのよ」
R子さん疑わしそうな、頼りなさそうな、半信半疑の表情で帰りました。
そして彼女は、その日の夜から電話をかけてくるようになりました。電話は朝と夜の2回の約束でしたが夜中にかかってきたり、話し終えて切ったばかりでまたかかってきたり、一日に十数回もの日もありました。最初は涙声で弱々しく訴えていた声が、2週間ほど過ぎた頃から少しずつ元気を感じさせる声に変わってきました。落ち着いた声で話せるようになってくるに従って、電話の回数も減ってきました。