1 ダイヤモンドは、ああ甘露(1/3)

 

 

 朝、林道に続く道を散歩していたら、石垣の間に、細かなダイヤモンドがばらまかれているかのように、キラキラ、キラキラ、光っている所がありました。

 急いでそばまで行くと、それは ―――― ベルベットのようにふっくらした深緑のこけがびっしり張りついている中に苔の花が立っていて、その先端にマッチの頭ほどの水滴が朝日に照らされて光って見えたのです。近くに寄ってみると苔の色が水滴に反射して、瑠璃色に輝いているものや虹色に見えるものなど、どれも、まあるく、ふっくらとした玉になっていて、宝石のようにきれい!

 そおっとその一滴を指先にとって、舌にのせてみたら、かすかに甘い味がしました。

 あらっ、甘露かんろってこのことなのかしら?

 昔の殿様が美味しい食事に舌つづみを打つとき「甘露じゃ、甘露じゃ」って言う台詞せりふ、これからきてるのかしら? カンロ飴って………?