3 火事場の馬鹿力の誤作動 どうしちゃったの?(2/5)

 

「以前はこんな子ではなかったんです。少しは家に落ち着いていなさいと言っても、毎晩遊びに出かけてしまうほど、行動的な子供でした。今では家の中で、朝から晩までゴロゴロしているだけの子になってしまいました。たまに友達が心配して訪ねてきてくれても、会うのが嫌だって布団かぶって出てこないんですよ。あまりにも変わってしまって、3年前と同じ子供だとはとても思えないのです」

 一緒についてきた母親が涙ながらに訴えます。彼は他人事のように母親のかたわらで、体をユーラ、ユーラさせています。その青年に私は聞いてみました。

「初めての発作を起こす前、身体がとても疲れるようなこと、続けてやった覚えはない?」

「うーん……」しばらく考え込んで小さな声で答えました。

「スキーに行きました。車で夜立ちしてスキー場に行き、ずーと時間の限り滑って夜中に車で帰ってきたっけ。翌日は会社に行き、その夜友人に誘われて徹夜マージャンに付き合ったけど、それと何か関係があるんですか?」

 そんなことどうでもいいじゃないかと言いたげな態度で力なく話しました。