3 火事場の馬鹿力の誤作動 どうしちゃったの?(1/5)
代表的な火事場の馬鹿力の誤作動例をお話ししましょう。
28歳男性 ―――― 学生時代、陸上のトラック競技の選手でコンピューター関連会社に勤務。通勤途中満員電車の中で、突然心臓発作を起こし意識を失いました。入院検査の結果は異常なしと言われていました。その後、年に数回同じ発作を起こすので繰り返し検査をしましたが、異常は発見されませんでした。精神科で治療を受けているものの好転しないままで3年経ってしまい、乗り物にも乗れず、レストランに行っても、買い物しようとしても発作を起こしそうな気がして怖くてどこへも行けず、家に閉じこもって過ごしていました。
知人の紹介で来所した彼は、絶えず落ち着きがなく、目はうつろ、顔色はドス黒く、唇の色も非常に悪いのです。ひと目で病人の見本のようだと誰もが思えるのに、検査ではどこの病院へ行っても異常はないと診断されました。医師からも「気の持ちようだ」と診断され、周囲の人々からは廃人のように見られていました。