3 ディズニィーランド後記(1/2)

 

 道太郎の弟、次男が小学校2年生のとき、「ぼくのおにいちゃん」という題で書いた作文が神奈川県のコンクールで入賞しました。

 家族で車イスのお兄ちゃんとディズニィーランドへ行ったときのエピソードを綴ったものです。

 以前お兄ちゃんが元気で歩いて来園したときのことを思い出し、そのときとあまりに変わり果てたお兄ちゃんの姿に家族中が悲しい気持ちになりかかったこと、ディズニィーキャラクターが大勢でお兄ちゃんを取り囲んだときにお兄ちゃんが王子様になったように見えたことで、みんなの気持ちが、とたんに、ガラッと変わったことが記してあります。



 ぼくのおにいちゃん

桜台小学校 二年  H・U 

 

 ぼくたちのかぞくは、ディズニィーランドがだいすきです。いままでに8かいも行きました。このあいだも行きました。でもこんどは、ちがいました。入り口で車イスをかりました。おにいちゃんをのせるためです。

 おにいちゃんは、きょねんの夏、あたまの中にちがでてからあるけなくなってしまったのです。おかあさんが、

「まえにきたときは、とびまわっていたのにね」

といったら、みんな元気がなくなってしまいました。車イスにのるとおにいちゃんは、赤ちゃんみたいに見えて、いつもけんかしたりするおにいちゃんとは、べつの人のようで、ぼくは、なんだかへんてこりんな気がしました。でもぼくは、がんばって、車イスをおしてあるきだすと、むこうから、たくさんのぬいぐるみの人形がやってきて、おじぎをしたりしながら、おにいちゃんにあくしゅしたりしてくれました。さっきまで赤ちゃんみたいな、おにいちゃんが、こんどは、きゅうにおうじさまになったように、見えました。

 いろいろなのりものにのるときかかりの人がのりものをとめて、おにいちゃんに、のりやすくしてくれました。

「どうもありがとう」

 みんなニコニコしてぼくたちに手をふってくれました。こわいのりもののときは、おかあさんがキャーキャーいって、おにいちゃんにしっかりつかまっていました。おにいちゃんが、

「おかあさん、こわがりだね」

とわらいました。みんなたのしくて、おにいちゃんのびょうきのことなど、わすれてしまいました。

 ふだんもときどきわすれてしまいます。ほん気でけんかをしちゃいます。でもまえには、いつもかっていたおにいちゃんがかんたんにまけると、思いだしてしまうのです。そしてかってもうれしくなくなります。だからおにいちゃんがびょうきをするまえのつよいおにいちゃんになるといいと思いました。でもきょねんは、ねたきりだったおにいちゃんが車イスにのってディズニィーランドにこれたのですごくぼくはうれしかったです。

 こんどディズニィーランドにくるときは、おにいちゃんが少しでもいいから、じぶんであるけるようになっているといいな。