5 おいしい・うれしい・ありがとう

 

 いじめを撲滅するにはまず急がば回れ。EQ向上を計らなければならないことと気がつきました。そこで思いついたのが、道太郎がどんな些細ささいなことにでも言っていた3つの言葉、

「おいしい」

「うれしい」

「ありがとう」

を一日5回以上言う生活を送る提案です。

 いじめの研究と、道太郎のための脳の勉強が合わさって、脳内ホルモンの調整が大事な決定点だと思えたからです。

 今ではこの3つの言葉は言った本人の脳に好成果をもたらせ、活性化させるキーワードとなると確信しています。

 この3つの言葉を生活の中に一日5回以上足し算することからすべてが変わってきます。5回以上言うとなると他者と交わらなくてはなりません。また、しかめっ面では言えないでしょう? で、必然的に他者を喜ばせることになり、他者が喜んだ顔を見て自分が嬉しくなって脳内ホルモンがジワーンと出てくるわけです。

 私自身、大変な介護を続けながらも人生が360度変わっています。そのことを知れば知るほど、道太郎の方が私よりEQが高かったと思いました。道太郎は一生懸命私や弟を喜ばせようと生きていたのに、私はそのことの評価よりIQを望んでいたように行動していたのですから、情けないったらありません。

 道太郎があまりにかわいそうで申し訳なくて、その分誰にでも愛を注ぎ、出会う人を必ず大切にしようと決めたことの大きな動力になったのは、この3つの言葉でした。道太郎はこの言葉で私にしっかり愛を伝えてくれていたからです。

 実践し始めるといつの間にか私の元には多くの人が集まり出し、よろず相談所のようになっていきました。ですから、シェイプアップ運動教室だったのを意学環境研究所に変更した源は、もしかしたらこの3つの言葉にあるのかもしれません。

 私は皆さんから親しみをこめて「京子センセイ」 ―――― 漢字の先生ではなくアダ名の「京子センセイ」と呼ばれるようになりました。私はもう二度と脳足りんにならないよう注意深く生きて皆さんを喜ばせようとがんばっています。

 愛は言葉や信念ではなく、愛するという行動だと思います。そのため仕事・人間関係、そして身体の相談まで、引き受けるようになりました。また、依頼があれば道太郎の世話をしてくださる方の手配ができる限り、どこへでも講演へ行くようになりました。少しでも皆さんに幸せになってほしいからです。