1 ノータリンと呼ばれてた(2/3)

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1 ノータリンと呼ばれてた(2/3)

 

 ある朝道太郎は、玄関で靴を履くために腰を下ろしたっきり立ち上がりませんでした。思えばその当時の数日間、毎朝なんとなく学校へ行き渋るようなそぶりでしたが、私自身も時間に追われていたため気づかぬふりをしていました。

 ですがその朝、彼は思い切ったように立ち上がって言いました。

「お母さん、お願い! 学校に行かなくていい? 僕しっかりお母さんのお手伝いも勉強もするから……。ユウユウ(弟の愛称)を泣かせないように上手に遊ばせるし、何でもするから、ねっ、お願い!」

懇願こんがんする道太郎に私は言いました。

「学校に行かないなんて! そんなことダメよ。なんで学校に行きたくないの?」

彼は肩を落として下を向き、

「みんなは僕のこと好きじゃないんだ。ノータリンって呼ぶんだ。手がのろいって、足手まといで邪魔だからって……僕が一生懸命がんばってもキャンプのグループに誰も入れてくれないし……先生に言っても先生は『みんなから嫌われないようにちゃんと勉強してがんばらないから』って言うし……『サンタクロースを信じてる暇があったらスポーツしなさい!』ってみんなの前で言うからみんな笑うんだよ。それにね、女の子がいじめられてたから助けたら、女って言われてからかわれてたのに、先生が女子のグループが1人足りないからって、丁度いいからって、そこに入らされて……そしたら女の子たちから『気持ちわるーい』とか言われたんだ。だから、どうしてみんな僕と仲良くしてくれないの?って聞いたら、『お前なんか顔見たくないから死んじゃえ!』って。僕のこと、いらない奴だって……。お母さん、僕のこと、いらなくないよね……? 僕、僕のこといらないって言う人たちばっかりの所に行きたくないんだ……。働いてもいいから、働きに行ってもいいから、ねっ、ねっ? 学校に行かなくてもいいよね?」

「何言ってるんです! 男のくせに、メソメソ グチなんか言わないの。そんな子お母さんもいらない!! さぁ! 早く学校に行きなさい!!」

 私は道太郎がいじめられるとわかっていたはずなのに、鬼のように我が子を学校へ追いやったのです。

 人は無意識下で自分がされていることを他者に同じようにするものです。当時の私はいつも追いつめられているように心身ともにいっぱいいっぱいで、何事の落ち度も許されない状況の中で生活していたので、彼の心からの訴えを受け止める気力すらなかったのでした。

 ―――― それは母親としては失格であり、言い訳すら通じない。脳が破裂し、今までのようではない、遠い所へ行ってしまった息子へ詫びる言葉すら見つからない出来事でした。

 

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