3. 沈むタイタニックが彼女を救った!

 この話には後日談がありました。

 映画の「タイタニック」がすごく話題になっていた時のことです。同じタイトルの古い映画もリバイバル上映されたので、それをみていたそうです。

 ヒロインと恋人のふたりが沈みゆくタイタニック号に乗っていて、もう少しで逃げ出せるとき、恋人の男性は元妻にバッタリ顔を合わせてしまったのです(この元妻は他の男性と一緒だった)。

 元妻は沈む側の所で、必死に濁流と格闘していて「助けて!」と元夫をみつけて呼びかけたのです。止めるヒロインをふり切って彼は元妻の手をつかもうとして、一緒に濁流に巻き込まれてしまい、ヒロインはひとり残された・・・・・・。という筋立てです。

 T美さんは残されたヒロインの女性の気持ちを一緒に味わったのです。

 「そして・・・そしてね、彼とははっきりその時、別れるべきだって気付いたんです。

 映画を観る直前には、もう別れるべきだって決めてあったんだけど、気持ちがまだ揺れていて、彼から会いたいって言われたらまたフラフラ会って、今までの関係になってしまいそうなあやふやさが残っていた。寂しくってたまらなかったし―――。

 でも映画を観ているうちに、人間の脳の中には二者択一性しかないというセンセイの教えが分かってきて、やっぱり、別れるってはっきり決められたんです。彼ははじめから私を選んでいなかったんだって、嫌だけど分かったから・・・。

 で、そう決めたとたん、その日から胃ケイレンなくグッスリ眠れたし、体調が好転しだしたもので、変ですけど別れること自体がとても楽になりました。

 PSもきっと効いたんですね。自分も同じ柄のTシャツ(ヒマワリ柄は絶対イヤ)を着て、一緒に列車に乗る家族作りをしようと思えるようになったんです。

 今まで彼がずるいとか男の身勝手とか、彼のせいにしていたことも結局は自分だったんだって分かったし・・・・・・。自分で決めることが一番なんですね。

 今は自分が自分の身体を治せる一番の名医だっておっしゃったセンセイの言葉の意味が、しっかり分かった気がしています。」

 活き活きと話すT美さんは、最初にご相談に来られた人とは別人のようでした。若返って清々しい輝きをみせてくれている。相手の家族や相手を傷つけず、うらまず、最後まで自分で責任をとったのです。病気までも自分で治せたのです。

 そんなやさしくて強い心を手にできたのだもの。あなたにふさわしい人に絶対巡り会えるはず! T美さんは女の中の女、プロだから。今までの彼のような、アマチュア男は目じゃないの―――そう思いながら、黙ってしっかり彼女をハグしました。幸せになれるよってささやいてね。