②生き返る時
「僕はまだ生きているんだ!
息をしているんだ!
きっと治るって知っているんだ!」
―ってミッタロが伝えているような反応をします。何日かに1回、それこそ時間にしたら何秒か何分か・・・・・・甦る時があります。それを見て、私もまた息がしっかりできるようになったり、ハードな生活をおくる次男も、再度、使命感をかきたてさせられています。
脳の欠落の多いミッタロが―、
自力で動けないミッタロが―、
22年間も眠っているのに―、
時々、
「あきらめていないゾッ!」ってサインを出してくるのです。
どんな脳足りんの私たちだって、切り取った脳ではないのです。
「頑張れるよねっ」
そう感じさせてもらえる時―――ミッタロの身体に電気がついたようになる時です。
生き返る時、
ほんのちょっとの時、
やっぱり希望が湧いてくるのです!
でも劣化は情け容赦なく進んでいます。残酷だけど現実なのです。彼の電気のつく瞬間がなくなる前に、せめて彼の代弁者になって、脳が全部そろっている人たちみんなに、
死にたいだの、
苦しいだの、
やる気ないだの、
信じられないだの、
不幸だの、
もうダメだの、
言わないですむように、
どうしたらいいかを伝えたいのです。
脳の大事な四分の一近く切りとって、長く生きていられないと宣告をされてから22年、生き続けている姿の前では、どんな理屈も消えてしまうのです。
ミッタロがこんな身体になる前に防げなかったのは、どんな理由があるとしても、母親である私の責任です。
それを知ってるって、すごくむごいことなのです―――きれいごとではない、いつも逃げ出したい位辛いことなのです!
だから、みんなにはぜったいそんな思いをさせたくない!
ミッタロだって絶対そう言いたいのだと思う!
何が無くたって、脳があればいいんじゃないか。
あとは何とかなるようにすればいいじゃないか。
そう言いたいのだと思う!
時々、くじけそうになる情けないお母さんやみんなが心配で、ミッタロは自由に天国に行くこともできないで、時々、カツを入れるために生き返ってみせているのでしょうか。