1 他力本願じゃだめなの(1/4)

 あるとき、ショボッとしか生えていない髪の毛をスカーフで隠し、言いようのないほど、黄色くたるんだ肌、口の周りはただれて口角炎がいっぱいできた女性が訪ねてきました。運動指導をしていた生徒さんから私を紹介されてきたのです。

 その女性は夏だというのに身体を絶えず震わせ、70歳過ぎの感じがしました。年齢を聞いてびっくり。R子と名乗る彼女はまだ48歳だと言うのですから。

 私はどういうわけか病気に鼻の利く体質で、この時も彼女の下半身から何となくイヤーな臭いがしていました。

「下半身の病気ですか?」

 と思わずたずねてみると、彼女は話し始めました。3年前に卵巣ガンで手術したこと、1年前に乳ガンで手術したこと、抗ガン剤と放射線治療をしていながら、ほかにも転移してしまったこと。担当医が半年はもたないだろうと話しているのを漏れ聞いてしまったこと。そんな状態で、もうこれ以上の治療はしたくないという思いや、病院でも好きにしていいと言われたこと、入院も嫌だと思っていることなど。