1 私は私自身にディズニィーランドを一服
落ち込んで、落ち込んで果てしなく落ち込んで這い上がれなくなったとき、私は、私のためにディズニィーランドへ行くことを処方します。いわば、脳へのカンフルかしら。
子供の頃、毎週テレビでディズニィーの世界から、冒険の国、おとぎの国、未来の国、そして探検の国の4つの国を代わりばんこに放映していました。
F洋菓子店がスポンサーだったこの番組のCMには、男の子1人と、女の子1人と、優しそうな両親の4人で仲良くとても楽しそうにレストランに入るシーンを流してました。
春にはフレッシュな苺をいっぱい使った苺サンディー、苺たっぷりのストロベリーショートケーキ、秋には栗がたっぷりのモンブラン、生クリームをふんだんに使ったマロンシャンテリーなどを、2人の子供たちがおいしそうにほおばるのを、美しい両親が目を細めて見守っている。
そんな場面とディズニィーのストーリーが重なりあって、幼い私の脳内図式には、ディズニィー=何の心配もない幸福な世界 ―――― とインプットされてしまいました。
ディズニィーランドの一番の人気者、いつでもどこでも生真面目にトライする主役のミッキー、相手役のミニィーにいいところを見せようとしてはドジを踏むミッキー、それでもめげずにトライして意気揚揚としているミッキー。そのときスッと登場して、「あら! ミッキーありがとう、うれしいわ!」とミッキーの汗と涙の結晶で手に入れた花束を受け取る幸運のマドンナキャラクターのミニィー。私は大好きです。どんなに嫌なことがあっても、どんなにつらいときでもこのミニィーちゃんの笑顔に出会うと一緒になって、「まあ! ありがとう、うれしいわ」とニッコリできる気になってきます。
大好きなミニィーちゃんに同化できる世界、そのまま現実に「こんにちは!」と道端でばったり出会える可能性のあるディズニィーランド。入り口でチケットブースに並んだときから、私の心はディズニィーランドの住人になっていきます。