③ボクドラエモン
「ボクドラエモン!」
今日はミチタロ君に声でお便りするね。
ミチタロ君は病気で毎日いろいろ大変だろうけど、
決してくじけちゃいけないよ。
僕も忙しくってなかなか会えないけど、いつもミチタロ君ガンバレッ!って陰ながらおうえんしてるからね」
ドラエモンのこのテープの声に、ミッタロはウトウト状態から突然息をハーッと大っきくのんで、顔を緊張させます。
天国にいったら誰と暮らしたい? って聞いたら、「ドラエモン!」ってこたえていた位、手術前まで元気な大ファンだったドラエモンの声が、「ミチタロ君」って語りかけてくれている!! 声は続きます。
「ボク、ドラエモン、ミチタロ君にお願い。これからいうことをよく聞いて、言われたとおりにしてね。ではいろいろなことを言うよ」
ミッタロは首をちょっと持ち上げるような動作をして、左右を見回してドラエモンの声の出所を感じようとしているようです!
「ボク ドラエモン!
ミチタロ君、目を開けて、しっかりボクをみて!」
あっ! ミッタロのまぶたがヒクヒクして、うっすら目を開けています!
「ボク ドラエモン、
ミチタロ君 お口をアーンして、
ゴハンを食べて お口をアーンして、
ゴハンを食べて しっかりたくさん食べるんだよ」
ああっ! ミッタロの口からヨダレッ!
「ボク ドラエモン、
ミチタロ君、ユウユウ(☆1)がイタズラしているから、注意してよ」
「ボク ドラエモン、
ミチタロ君、ニコニコして!
もっともっとニコニコして!
いつもニコニコ! もっともっとニコニコして!
じゃあまたね。バイバイ!」
ベッドの上で手をかすかに動かしています! 時間にしたら3分程のこのテープ、ドラエモンさんのご厚意で作ってくださったこのテープ、ミッタロにとっては救世主のようなこのテープ。一緒に聴いてる全員がドラエモンの声にグッときちゃう何かを感じるのです。虫がさわぐのです。
もちろんドラエモンの声の主、大山のぶ代さんが名優だからなのでしょうけど、その声にはプロの技法以上の、貴いオーラのようなものを感じてしまうのです。
面識のないミッタロのために、超ご多忙な大山さんが、わざわざスタジオでこのテープを作成してくださったのは、淑子先生(☆2)がミッタロを喜ばすこと=ドラエモンからのメッセージだとひらめいて、心から大山さんにお願いの声かけをして実現したといういきさつがあったのです。
ただひたすらミッタロのために頼んでくださった淑子先生と、意気に感じ心を込めてメッセージを吹き込んで下さった大山さん、おふたりの清いやさしさが乗り移って、オーラを出しているのかもしれません。とにかく皆さんにも一度お聞かせしたいほどです。
テープの中のドラエモンは生きていて、息をしていて、出会ってくれた喜びをきっと伝えてくれるからです。
本当に嬉しい嬉しいプレゼントでした!
普段、ゆったりかまえて喜怒哀楽を見せない次男もテープを聞いたとたん、
「うっ!」
と声をつまらせ、テープが止まるまで身じろぎせず聞いていました。終わったとたん、ウルウルとした声で、
「すっごい! 我が家の家宝にしよう!テープじゃ消えてしまうといけないので、CDにおとしておきましょう! それまでテープにさわらないで!」
―――と大声をあげたのです。
あと2か月で医者になるはずの大きな身体のこの息子も! やはり「ドラエモン」の熱烈ファンだったのです!
淑子先生、
大山のぶ代さま、
ドラエモンさん、
本当にありがとうございます!
テープを脇で聞いていた代表(☆3)の目もまっ赤で、声を殺して泣いていたのです、実は。
彼もまた「ドラエモン」のかくれファンだったのかもしれません!?
とにかく、このテープはミッタロにとっての心呼吸をくれる、とてもとても大切な一番きく強心剤なのです。
☆1 次男雄二郎の小さな時のニックネーム
☆2 意学環境研究所の変心セラピー演劇部講師 太田淑子先生
☆3 意学環境研究所代表 小笠原昌弘氏