第十七話『きょこちゃんと新婚旅行』①

「こんな大人に愛った(あった)から」第十七話
きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。
きょこちゃんの悩み
「あーあ。何かいい方法ないかしら?」ため息と一緒に何回目かの寝返りをうちました。
いつもは、ベッドの足元で「ゴロゴロ」のどを鳴らしている猫のケニヤの重みを気持ちよく感じながら、寝ている時間です。ゴロ、ゴロ、ゴロ
「あーあ、猫っていいわねぇ。のん気で、なぁーんの苦労もないんですもん」
ゴロ、ゴロ、ゴロ。声に出して言ってみても、何のなぐさめにもなりません。
ちょっぴり、ケニヤがうらやましく思えました。
ケニヤは以前よっちゃんが病気の時に身代わりで死んだ、黒猫のケニヤとそっくりなので同じ名前をつけました。2番目に来たケニヤなので第二ケニヤと呼んでいます。
きょこちゃんの生きてきた11年の人生の中でも、今回ばかりはどうしたらいいのか・・・・・・見当もつかないのです。
「あーあ」 ゴロ、ゴロ、ゴロ・・・・・・声が重なります。
(どうしても、おばあちゃんたちを行かせなきゃ。そうよ!「どうしても!!」)
最後の「どうしても」は、思わず声に出して言ってしまいました。
ゴロ、ゴロ、ゴロ・・・・・・
「人がこんなに悩んでいるのに気楽ねぇ。」
かたい決心
絶対眠れないと思っていたのに目が覚めたらもう朝。けれども、鏡に映った歯磨きを歯磨きをするお顔には、自分が何をするべきかが、はっきりわかった決意が表れていました。
その日は、特にゆっくり時間がかかりながら、学校の授業が進みました。いつもと変わりなかったのですが、放課後に目的を持っているきょこちゃんにとっては、そう感じられたのです。先生にとっても、質問をあびせかけて、時間を食うきょこちゃんがおとなしかったので、いつもよりずっと授業時間が長いように思えました。
キンコーン、カンコーン。授業終了の鐘。同時にきょこちゃんの姿は、教室から消えていました。
「ねぇ、おばちゃん。おばちゃんのお店、猫の手も借りたいほど忙しいって、ほんと?」
「ほんとだよ!!」
「うちのケニヤは、働かないと思うけど、みんなはワタシのこと、猫よりマシって言っているの。」
「それで・・・」
お肉屋さんの奥さんは、お店の裏側で忙しそうにジャガイモの皮をむいていました。
「あのぅ、だから・・・おばちゃんのお店は、猫の手も借りたいんでしょ?
でも家のケニヤは働かないから、猫よりマシなわたしのこと働かせて下さい!」
「えっ!!」
奥さんはせっせと動かしていた手を止めて、はじめてきょこちゃんのお顔を見ました。
「小学生を働かすことはできないんだけどね。でも、どうして働きたいの?」初めの言葉で、きょこちゃんの表情が曇ったのを見た奥さんは、慌てたように聞いてくれました。
そこで、きょこちゃんは「どうしても!!」と決心した経緯を話しはじめました。
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