第十六話『きょこちゃん、お葬式に行く』③

「こんな大人に愛った(あった)から」第十六話

きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。

きょこちゃん「ジッと我慢」つづく

 「あっ次々に到着だねぇ。どれ! どれ! あの男(ヒト)倒れたって聞いたが、・・・・・・マヒ・・・・・・大丈夫なようだね・・・・・・ふん・・・・・・ヨイヨイになったら・・・・・・家族は見向きもしないだろうよ・・・・・・薄情な一家だからね・・・・・・。」

(おじさんをいたわってる家族のこと? 大事にしてるじゃない・・・・・・。おばさまはおじさんがマヒしてないのが気に入らないの?)

 「やあだ! チン(犬種)そっくりな顔をして! 馬鹿な人よねぇ? どんなんに可愛いか知らないけれど、犬に財産残すなんて・・・・・・わたくしは自分の義務だから・・・・・・そう言ってやりましたよ・・・・・・そう言いましたとも・・・・・・ふん・・・・・・それを!! あの人ったら何と言ったと思う?」

「さ・・・・・・あ・・・・・・」

「それを! 人が親切に忠告してるのに! あの人は! 犬は私を裏切りませんから・・・・・・。そう言うんだからね・・・。まるで・・・・・・私たちが裏切ったとでも言わんばかりに!! ふん! チンクシャとはよく言ったもんだ・・・・・・チンクシャ顔だわよ!」

(きょこちゃんはチンクシャって意味が分かんないけど、きっと悪口でしょう? 確かにあのおばさんは面白いお顔だけど・・・・・・)

 「あん? 外車乗り回してる、あの・・・、ほれ、(きょこちゃんを突っつく)そこの所に立ってる・・・・・・あの調子じゃあ、親が苦労して作った身上、あっという間にすっちまいそうだわね。まったく小原庄助だわ!」(小原庄助=朝寝、朝酒、朝湯が大好きで身上を潰したという歌の人物)

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」きょこちゃんには、よく意味が分かりませんでした。こうして、おばさまのこきおろしと品定めは延々と続きます。

 「おお・・・・・・おお・・・・・・大そうなこった・・・・・・・・・・・・あの歩き方。肩で風切るとは・・・・・・よっぽど羽振りがいいらしい・・・・・・。事務機なんて必要とは思わなんだが・・・・・・世の中・・・・・・変な物を流行らせたり・・・・・・妙な仕事でひと儲けしたり・・・・・・。

あら? あの男(ヒト)、ちょっと、ほら、あの男(ヒト)、(きょこちゃんの脇をツンツンと突っつく)誰かと思ったら文吾郎じゃないかい?・・・・・・あんなに痩せちゃって・・・・・・元はプロレスラーか相撲取りのような体格だったのに・・・見る影なく痩せたわねぇ・・・よくここへ顔を出せたもんだ・・・・・・」

(あっ! あのおじちゃん知ってるぅ! 結婚式の時、カンパイもスピーチもしてた・・・・・・きょこちゃんたち子供用テーブルを用意してくれたっけ・・・・・・)

 「どんだ! くわせ者だった・・・・・・あんなに羽振りよくしていたのに、会社を潰すとは・・・・・・。だいたい慈善だなんだって・・・・・・社会へ還元だとか言って、自分の会社がコケちゃうなんざ世話ないねぇ。だいたいあんな風に自分の分(ぶ)もわきまえず、金をまき散らせば遅かれ早かれ、こうなっただろうよぉ・・・・・・。まっ、なんにしてもわたくしの所の石垣を直してくれた後でよかったァ!・・・・・・」

 きょこちゃんはつらい思いで文吾郎おじさんを見ました。確かにやつれてとっても疲れているように見えます。(でもおばさま、ひどく言い過ぎじゃないかしら? 1人暮らしのおばさまの家の石垣が崩れていたのを心配して、人とお金を全部手配してきれいに直してあげたのに・・・・・・。それにあの時はすごーく褒めていたじゃない・・・・・・。)

 「それっ!(きょこちゃんの脇腹を今までよりも強く突っつく)あなたのお父さんも気をつけないとね。似てますよ、どこかさぁ。文吾郎に・・・・・・。クニちゃんにもいつも言ってるんだけどね・・・・・・。」

 おばさまがクニちゃん(きょこちゃんのお母さん)に何と言っているか聞かずに済みました・・・・・・幸いなことに・・・・・・。

 僧侶が入場されて読経が始まったのです。長々とお焼香の列は続き、おばさまは扇子の陰から目を光らせて1人1人の品定めを楽しんでいる様子です。この間はきょこちゃんの脇を突っつくこともありませんから、少々ホッとしてお行儀よく見えるように座っていました。

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