第十六話『きょこちゃん、お葬式に行く』①

「こんな大人に愛った(あった)から」第十六話

きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。

お母さんの代わりで出席

 小学生のきょこちゃんが、両親の名代で親戚のお葬式に列席したのには理由がありました。

 亡くなったのはお母さんの里親の親類で、直接きょこちゃんとは血のつながりはなく会ったことすらない人でした。連絡をくれたのは里親のお母さんでした。

 きょこちゃんはこの厳しい老婦人が苦手でしたが、きょこちゃんのおかあさんにとっては里親だったこの老婦人の言いつけには幾つになっても背くことはできませんでしたから、

「私の世話を誰がしておくれなの?」と言われ、つい、

「私のところでさせていただきます。」と答えてしまいました。けれどもよっちゃんの入院費が莫大にかかった為、借金をたくさんしていたのでお店を休むことができません。

 お父さんもお仕事の段取りがつかないので、休む訳にはいかないし、で、きょこちゃんにそのお役目が回ってきてしまいました。

 初めてきょこちゃんの家に里親の老婦人が泊まりにみえた時「おばあちゃん」と呼んだら、

「わたくしは、あなたのおばあちゃんではありません!! おばさまとお呼びなさい!!」

とピシャリと言い渡されたその“おばさま”のお世話!!

 何をしても、うれしい、おいしい、ありがとう、を言うことができない人で、お母さんが心を込めて作ったお料理を、口に合わないからお寿司をとりなさい、などど言う気難しい老婦人。なんだかちょっと、気後れします。

 

「おばさま、あなたのこととっても気に入ってるんだから!」とお母さん。

「そんなことないわ! いつもきょこちゃんのこと、お扇子やものさしで、ピシリッと叩くじゃない!!」

「あら、あれは叩いてるんじゃなくて、気に入っているっていうおばさま流の合図なのよ。きょこちゃんが行ったらきっと喜んで、感謝してくれるわよ。」

「そんなぁ!! そんな合図する人、嫌いだもん!」

「ねっ、お願い! きょこちゃん、1日だけのことですもの、お母さんの代わりできる人、きょこちゃんしかいないでしょ?」結局お母さんのこの言葉に押し切られて、きょこちゃんはお葬式に行くことにしました。

 お母さんはそのことをおばさまには知らせませんでした。何故って、もし先に知らせれば、「あんなぺちゃくちゃしゃべる子に世話されるなんてまっぴらですよ。よござんす、わたくしに行くなとお前は言いたいのね?!」と言われるに決まっているし、お葬式までの2日間、毎日そのことで何度も電話で叱られ通しになるのは避けたかったのです。それに、どうせ叱られるならお葬式が終わった後、1回きりにしたいと考えたのです。

 という訳でお葬式の1時間前に会場へ行き、おばさまの到着をお迎えしたきょこちゃんへの第一声は、

「おやっ? クニちゃん(母の名前)は? 相変わらずグズだわねぇ。出迎えに間に合わないなんて。」お母さんが来てないことへの不満が現れていました。

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