第十五話『神様との約束』①

「こんな大人に愛った(あった)から」第十五話

きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。

よっちゃんが病気!

夏休みに入る前フサ子ちゃんは大阪に引っ越してしまいました。急なことだったので、お別れすら言えませんでした。(フサ子ちゃん、新しい学校でみんなと仲良しにできるかしら?)

毎日思い出してはため息をついていました。

 夏休みに入り、今年も田舎のおばちゃんの所へ行くのだけが楽しみになっていました。

よっちゃんも1年生になっていましたので2人で夏休みを田舎で過ごせばフサ子ちゃんのいない寂しさも少しは楽になると思っていたのですが、学期末あたりからよっちゃんは少し熱が出始めて、終業式には出られなくなってしまいました。当然田舎行きも延期です。

 1週間経っても熱が下がりません。日によって高熱まで出ます。小学校に行き始めてから時々疲れて出す熱とは違うように思え、お母さんは心配になりました。

 近くの小児科へ連れていくとお医者さんは首をかしげながら、もっと大きい病院へいらっしゃいとおっしゃいました。お母さんは益々心配になって、みぃちゃんを裏のおばさんに預かってもらいきょこちゃんも付き添ってK大附属病院に行くことにしました。

 ぐったりしたよっちゃんを抱いてきょこちゃんが荷物を持ってお母さんの後ろを歩いていきます。

「何でもないといいんだけど・・・・・・、ただの夏風邪だといいんだけど・・・・・・。」お母さんは自分自身に言い聞かせて安心するようにずっとそうつぶやいていました。K大附属病院まで電車で30分くらいですが、いつもだと喜ぶよっちゃんがグッタリしたままです。きょこちゃんにはそれが可愛そうでたまりません。

 人のいいお父さんは、また人に騙されてお金をたくさん無くしてしまい、きょこちゃんの家では今、タクシー代も節約しなくてはならず、この日も電車で病院へ行きました。

 お母さんが書類を書いているうちによっちゃんはどんどん悪くなっているみたいに思えました。身体もとても熱っぽく息も荒くなっているので気が気ではありません。順番を待ちきれないきょこちゃんは思いました。

「あのぅ、すいません。今、お母さんが手続きしているんですけど、よっちゃんが・・・・・・妹がとっても具合悪そうなんです。」診察室の中に入っていって居合わせた看護婦さんに言いました。

 看護婦さんは、待合室のベンチに寝かせてあるよっちゃんを一目見るとすぐに抱き上げて中へ連れていきました。

「お母さんがみえたら中へ来てもらってね。」

 きょこちゃんには何年も経つくらいに長い時間だと思えましたが、数分でお母さんは戻ってきました。

「お母ちゃん、よっちゃん、中に連れていってもらったの・・・・・・。」お母さんはさっと顔色を変えて中へ入りました。どのくらいの時間が経ったのか分かりませんが、お母さんは椅子に座るなり顔を覆って泣き始めました。

「ね、お母ちゃんどおしたの? よっちゃんは? よっちゃんはどおしたの?」お母さんは泣きながら説明してくれました。

 今年はポリオ(=小児マヒ)が大流行していて、よっちゃんはどうもその疑いがあること。ポリオは怖い病気で命を落とすかもしれないこと、もし治っても障害が身体に残るかもしれないことなど・・・・・・。

「それでね、このまま家に帰すのは心配なんだって。でもね、入院させるには普通の部屋が空いていなくてね、個室しかないんですって・・・・・・。個室ってすごくお金がかかるでしょう?どおしよう!・・・・・・。」

「入院したらよっちゃん治るの?」

「わからない・・・・・・わからないの・・・・・・。ただ入院させれば様子を見ながら色々治療できるらしいんだけど・・・・・・。」

「じゃぁ、入院させようよ、お母ちゃん!」

「そうね、そうするしかないものね。」お母さんはお金が心配でしたが、取り敢えずよっちゃんを入院させることにしました。もし入院させなかったら・・・・・・、どうなるのかは考えるだけでも恐ろしくなってしまいます。

 よっちゃんは薬で眠っているので、入院させた後すぐに2人はいったん電車で帰りました。入院のための色々なことの段取りをしなければならなかったからです。

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