第十四話『きょこちゃん、醤油工場に行く』②

「こんな大人に愛った(あった)から」第十四話

きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。

工場見学スタート

 入口から工場長さんと他2名の人が説明についてくださいました。3組は工場長さんについて工場内へ。働いている人たち全員が、白衣の上下、白い帽子、白い長グツ姿です。まずは大きな蒸気の上がっている鍋で大豆を蒸しているところを見学しました。大豆の蒸れるにおいと蒸気の熱が全身にしみ込むようで

「まるで自分が大豆になって蒸されているみたい!」きょこちゃんは思わず声に出してしまいました。工場長さんは笑いました。(今の発言、上級生らしくなかったかしら?)清水先生のお顔をチラッと見ると、先生はにっこりして頷いてくださいました。その次に大きな桶が並んでいる所に行きました。

 あんまり大きいので働く人たちはボートのオールのようなおさじで、板のはしごを登って桶の中をかき混ぜていました。

 「ここでは蒸した大豆に麹菌を混ぜているのです。麹菌を入れることで大豆が発酵して味噌や醤油になるのです。ここは醤油工場ですので、醤油しか醸造していませんが、甘酒やお酒なども同じ菌の発酵力を利用して作れるのです。

 この菌はコウジカビといって、皆さんがよく知っているお餅などに生えるカビの仲間です。ただ、コウジカビは繁殖させると食品に応用できますが他のカビはだめなんですよ。中には薬を作れるものもありますけどね。

 コウジカビは他のカビと混ざらないよう注意することが必要です。混ざると発酵力が低下してしまい、毒を持っているカビと混ざってしまった場合には食べられなくなってしまいますからね。たまにですが、コウジカビを繁殖させている時に他のカビが混ざり、コウジカビが死んでしまうこともあります。

 ですからこの工場では無菌室で注意深く、他の菌やカビを持ち込まないように管理してコウジカビを繁殖させています。

 あちらに見える白いドアの向こうにコウジカビの部屋があるんですよ。」

工場長さんの説明を聞きながら、きょこちゃんの想像はふくらみました。(麹菌ってこぉんなに大きな桶の大豆を発酵させるんですもの、どんなに大きなものから?)きょこちゃんはアラビアンナイトに出てくる魔法のランプの精のような、ムワムワとした透明な大入道雲のようなものをイメージしていました。

 コースの次は、絞った発酵大豆が醸造されて醤油となり、ビン詰めにされるオートメーション工程までですが、ボーッと空想にふけっているうちに3組は工場長さんについて少し先の方に行ってしまいました。

 気がついた時には2組がやってきて説明が始まっていました。

「ここの醤油を作る基はカビの仲間なんですよォ。カビ、カビって知ってる? お餅に生えるあの青いのや赤いのや、黄色、黒、と色々あるよね?」―――この人の説明はとっても面白くて誰もが引き込まれて聞いていました。そして、そこにいてはいけない筈のきょこちゃんも熱心に聞き入ってしまいました。

 皆もノートを取るのと話しを聞くのに夢中できょこちゃんが交ざっていることに気づく人はいませんでした。

 そして、またまたはっと気づいた時には1組がやって来ていました。

「あっ! いっけなぁい!」きょこちゃんは『約束事を守って上級生らしく』と言われていたことを思い出すとドキンとして泣きたくなってしまいました。

 フサ子ちゃんとカンちゃんがきょこちゃんを見つけてうれしそうに合図を送ってくれてることすら目に入らず、きょこちゃんは先にいる2組を追い越して3組に合流しなくてはと急いでいました。3組の姿はもう見えませんでした。

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