第十三話『きょこちゃん、学校をつくる』⑦

「こんな大人に愛った(あった)から」第十三話

きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。

病院が学校、の子たちのために

 その間に夏休みが入り〔日本にかがく花園学園〕は休校になってしまいました。その代わり入院ごっこという新しい遊びを思いつきました。遊びに来た子はみんな足に包帯を巻いて入院患者になるという遊びです。

 包帯の巻き方は1週間に1回リハビリに通っている病院で看護婦さんから教わってきました。みぃちゃんとコウちゃんとよっちゃんは包帯を巻くと恐がるので、患者の世話をする看護婦さんになってもらいました。

 ところがこの看護婦さんたちは、無責任にも患者のことを忘れてお人形遊びに移行してしまうので、患者たちはいつまで待っても何もしてもらえず、包帯を巻いたままじっと患者役に徹しているのですが、じきに飽きてしまいます。

 きょこちゃんはそんないきさつを本物の看護婦さんに話しました。みんはは大笑い!

「本物の看護婦さんってえらいのね、患者さんのこと決して忘れてほっておいたりしないんですもの。」付き添いのフサ子ちゃんも口をはさみます。

「うちのカンゴクさん(フサ子ちゃんは看護婦さんをこう呼びます)はさ、本物のカンゴクさんと大違い、ホント無責任なんだから。」通りがかった婦長さんが笑い声に足を止め2人に話しかけてきました。

「ねぇ、2人にお願いがあるの。私たちのお手伝いしてもらえないかしらねぇ。」

「えっ!! ホントのホントウ!!?」

「カンゴクさんのお手伝いいっ!!? 本物の?」

「2人で折り紙の船作ってほしいんだけど。」

「えっ? 船?」

「そう! 作り方教えるからそれをたくさん作って欲しいのよ。ね、お願いできる?」

「ハイッ!」 「ハイッ!」

 船がどんなものか、その時2人は知りませんでしたが、本物の看護婦さんのお手伝いができるなんて!! 滅多にないことじゃありませんか!! 大喜び、大張り切りで2人は婦長さんから船の作り方を教わって、その日からいくつもいくつも船を折りました。

 あんまりどっさり折ったので2人ともこの船の折り方は一生忘れそうにありません。

「ねぇ、こんなに折ってこの船何に使うんだろう。」

「婦長さんにお願いされたんですもの、きっと何かとっても大事なことに役立つんだと思うわ。」船作りはいつの間にかたくさんの子供たちに広がってまたたく間に、預かっていた数百枚の折り紙は終わってしまいました。

 婦長さんに出来上がった船を手渡すと「ちょっとこちらにいらっしゃい。」病棟の学童棟に連れていかれました。

 ガラスの窓越しに沢山の小学生がベッドに寝ているのが見えます。婦長さんがしぃーっとして、ひそひそ声で話してくれました。

「ここの子供たちは治る見込みの少ない病気なの。でもみんな小学生だから、ここがある意味教室なんですよ。けどね、いくら励ましても身体は悪いし、元気な心になれないの。でも生きてる限りは楽しく暮らして欲しいのよ。それでね、毎日1人1つずつ船に書くの

『病気さよなら、元気になる』と。そしてそれをつないでいくの。特につらい治療があったりした時は、もう1つ書くの。そしてね、それが10個たまるごとに裏の川に流すのよ。」

きょこちゃんは想像してみました。治らないかもしれない病気でいる時、船に『病気さよなら、元気になる』と書いてつないでるじぶんの姿を! 涙が知らない間にあふれてきました。

 「婦長さん、きょこちゃん、もっともっと船折ります! 一生懸命折ります。みんなが本当に治ってくれるように、一生懸命折らせてください!!」

「そう、ありがとう、じゃ、またお願いね。そしてお祈りしてあげてね。この折り紙は薬を包んであった紙なの。だから効き目ある筈よね。」婦長さんはきょこちゃんたちに他の病気の子供たちのことを知らせたかったのでしょう。そして少しでも治る方にいって欲しいと願っていたのです。きょこちゃんも足をケガしてしまったけれど、いつかは必ず治ると知っているので心配じゃありません。

 窓越しに見たベッドの教室の小学生たちのような病気ではありません。フサ子ちゃんも元気です。きょこちゃんは、自分たちが元気なのに、病気の子たちのことを知らずにいたことが申し訳ないような気持ちになっていました。そして、松葉杖のきょこちゃんの歩行を助けてくれてるフサ子ちゃんの手を、ぎゅっと握りました。

「フサ子ちゃん、ありがとう! 元気でいてくれて! 絶対病気になんてならないでね!それから、病気の子たちのためにお船をどっさり作りましょうね!」

「あったりまえじゃん!」

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