第十三話『きょこちゃん、学校をつくる』④

「こんな大人に愛った(あった)から」第十三話

きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。

おしおきの人さし指

 カンちゃんの1番上のお兄ちゃんが中学生で番長でしたから、カンちゃんのお兄ちゃんは1番上のお兄ちゃんから殴られていて、それをかっこいいことと思いこんでいました。

ですから2番目のお兄ちゃんはカンちゃんを殴り、カンちゃんはクラスの弱い子を殴り、と、カンちゃんたち3兄弟は当然のこととして何も考えずに殴り回しをしていたのです。

「おばぁかさんねぇ、自分のこと番長って言ってるのに、なぁんにも知らないの、だめねぇ!」

「・・・・・・・・・」

「バンチョウ・・・・・・ってね、昔の古い屋敷のことなのよ。そこのお殿様のことをバンチョウって言ってたんだから。」きょこちゃんが言ったのは「バンチョウ皿屋敷」という怪談話のことでした。もちろんそれは正しくはありませんでしたが、そのことはきょこちゃんも含めて誰も知りませんでした。

「なんだっていいだろ!! とにかくお前たちにブランコは空けてヤンねぇ!!」

「あらっ! そんなこと誰が決めたの?」

「おれたちが決めたんだ!! 文句あんのかよぉ!!」

「殴っちまえよ! うるせいから!! 番長!!」

「殴ってごらんなさい、あななたち大変なことになるから!! 知らないわよっ!」きょこちゃんはまだご飯つぶが残っている人さし指で番長を指さしました。

「あなたに天から罰がくだる!!」

「おいっ! よせよっ! 気味わりぃ!!」

「じゃぁブランコ使わせて。」 「それはダァーメッ!!」

「それって法律?」 「そう、法律さっ!!」

「法律って憲法のことよ、知ってるの?」

「るっせーぃやっ! そんなこと知ってらい!!」

「じゃぁ憲法何条にブランコを使わせないって書いてあるのか言ってみてっ! さぁ!日本国憲法何条!!」

 きょこちゃんは〔日本史にかが く偉人物語〕の中の憲法制定をした伊藤博文公の話を読んだばかりでしたから、難しいことを思い切って持ち出したのです。

「お前、頭変じゃねぇか。相手になんねぇや、馬鹿バカしくってさっ。」

「番長のお兄ちゃん、憲法はね、日本国民を守るためにあるのよっ! だからブランコ使わせなかったら憲法違反で警察に捕まっちゃうんだからね。きょこちゃんぶったりしたらもっと罪が重くなるんだから。死刑になるかもしれないからねっ!!」きょこちゃんが強気で出ると、男の子たちは全員気味が悪くなってきたようでした。

 きょこちゃんの話すことを全部信じた訳ではないのですが、このチビッコはあなどったら大変なことになりそうだと思い始めたのです。

「じゃぁ、しょうがねぇ、ブランコ使っていいよ。」しかめっ面をして番長がようやく言いました。

「それでは、ヒモをほどいてくださいナ。」

「おいっ!!」 怒った様子の番長を前にきょこちゃんはお構いなしに続けます。

「それからカンちゃん、フサ子ちゃんに謝ってくださいナ。」

「何だとォ!!」

きょこちゃんは黙って番長に向かって人さし指で指さしました。すると・・・・・・。

「おいっ! カン! 謝れよォ!」

「ええっ!! なんでだよォ!!」

「いいから、あやまれっつーの!!」

「・・・・・・ゴメン・・・・・・」カンちゃんはようやく謝りました。

「カンちゃん、これから2度と悪口を言わないでね?」

「るっせー!!」

きょこちゃんは再び番長を黙って指さし・・・・・・。

「こらっ! カン!! 2度と悪口言ったら承知しないぞ!!」

「・・・・・・にいちゃん・・・・・・。」

「番長のお兄ちゃん、これからは他の男の子たちが小さい子に意地悪しないように、それを気をつけてくれるなら、きょこちゃん警察に言わないでいてあげるからいい?」

「ちぇっ!! ちぇっ!! わかったよォ!!」と番長は言いました。

 こうしてブランコはまた自由に使えるようになり、番長たちが立ち去って公園に平和が戻ったのですが、その後みんなは暫く自分たちの幸運を信じられませんでした。

 すっかり番長たちの姿が見えなくなった途端、きょこちゃんはヘタヘタとその場にしゃがんでしまいました。極度の緊張と怒りでエネルギーを使い果たしたかのようでした。

 フサ子ちゃんは涙を拭いた跡と土埃縞になった状態のものすごいお顔に笑みをいっぱい浮かべて、

「きょこちゃん、あんたにさぁ、本持って来てホントよかったよっ!!」大満足でした。

 そんなことがあった以外は毎日楽しく学園生活は続きました。この一件以降、何かあったらいつも守ってくれると、そう信じたみんなからきょこちゃんは校長先生と呼ばれるようになっていました。

 すべてが順調にいっていると思っていた時事故が起きました。

それがどうして起きたのか、当人も周囲もはっきりわかりません。

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