第十三話『きょこちゃん、学校をつくる』②

「こんな大人に愛った(あった)から」第十三話

きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。

先生と担当科目が決定

 ところが、誰が何の先生になるかで少々もめました。きょこちゃんを音楽の先生にと、フサ子ちゃんが推薦したのですが、ゆみちゃんが

「あら、きょこちゃんの歌える歌って、そ、そ、ら、そらそら<ウサギのダンス>とチョッキンチョッキンチョッキンナ<あわて床屋>と、ポンポコポンノスッポンポン<ショショ寺のタヌキばやし>とかさ、動物関係ばっかりじゃん?」と、不満をとなえたからです。

 ゆみちゃんはピアノを習っているので、きょこちゃん家の古びた足踏みオルガンでも伴奏が弾けるから、音楽の先生は自分が向いていると思っていました。

 フサ子ちゃんは音符が読めないのできょこちゃんの方が簡単な音楽の先生になると考えていたのかもしれません。

「じゃぁ、音楽の先生はゆみちゃんに決まり! フサ子ちゃんは・・・・・・。」きょこちゃんは音楽はゆみちゃんでいいと決めたのですが、フサ子ちゃんは得意な科目がないので、はたっと考え込んでしまいました。

「うーんとね、算数の先生は?」

「だめ、だあーめ!! アタイ算数苦手だもん。」

「じゃぁ、何が得意なの?」ゆみちゃんがちょっとニヤニヤとして聞きました。普段からこの2人はちょっぴりウマが合わないのです。

 先生同士が団結しなくてはと思い、きょこちゃんが慌てて言いました。

「ねぇ、フサ子ちゃんがくれた日本史にかがく偉人物語にね、どんなに勉強嫌いでも、すごーく偉くなった人のお話、どっさりのっているのよ。だからフサ子ちゃん、苦手な算数でもいいじゃない、頑張ってみましょう。私もお手伝いするから。」 「うん、いいよ。」

ゆみちゃんを睨みながらでしたが、思いの外フサ子ちゃんはすんなり承知してくれました。

「どうせアタイ、どの科目も嫌いだし出来ないから、何でも同じだからさ。」

というのがフサ子ちゃんの弁でした。きょこちゃんは体育と算数のお手伝いと給食の先生、フサ子ちゃんが算数と休み時間の先生、ゆみちゃんが音楽と給食の先生に決まりました。

 フサ子ちゃんを給食の先生にすると、作りながら食べちゃうかも、と心配だったので給食を用意する間、道を隔てた前の児童公園で生徒たちを遊ばせる先生にしたのです。音楽と算数と体育と土曜日は給食つきの〔日本にかがく花園学園〕は赤いネクタイを首に巻いて3年生3人の先生と、3歳~7歳までの生徒たちでスタートしました。

授業は好調な滑り出し

 音楽の時間はゆみちゃんの伴奏で“故郷の人々”のレッスンです。

「ミィーレド ミレド ドォーラソォ、ソォーミィドォレー

ミィーレド ミレド ドォーラソォ、ソォーミィドォレレドォ

シィードレソォ ソォーラ ソォ ドドラファファレー

ミィーレド ミレド ドォーラソォ ソォーミィドォレェレェドォー」

 ゆみちゃんが音符を読みながら弾くのを、みんなが真似ます。2週間もたつと、1番小さな3歳のみぃちゃんまで、全部音符で歌えるようになっていました。

 もちろん言葉の遅いみぃちゃんは、いまだに赤ちゃん発音なので、

「ミャーニャダ ミャーニャダ」と聞こえますが・・・・・・。フサ子ちゃんは健気にも九九を教えることにチャレンジしましたので、毎日ブツブツと九九を唱えていました。

「さぁ、2の段から言ってみよう!」

「2・1が2、2・2が4、2・3が6、2・4が8、2・5・10、2・6・12、2・7・14、にはちじゅうろく、にくじゅうはち」

「はーい!良くできました。つぎっ! 3の段言ってみよう!」出来ない子には、

「こらっ! なに考えてんだっ! ちゃんと復習してこなくちゃダメじゃないかっ! 2の段なんか赤ん坊だって間違えないよっ!」とガミガミしかります。面白いことに〔日本史にかがく花園学園〕の先生たちは、自分が学校で教わっている先生の特徴や口調を知らない間に真似しているのでした。

 そんな風にフサ子先生がこわく叱っても、ちびっ子生徒たちに人気があるのは給食の時、「パクッとひと口」でものを食べられてしまう得意技があることと、児童公園のブランコで宇宙回りという離れ業ができるからです。

 2週間目の土曜日も給食準備の間生徒たちは嬉しそうにフサ子先生と児童公園に出かけていきました。

 きょこちゃんとゆみちゃんがお味噌をつけたおにぎりに花形海苔をつけている時、みぃちゃんとよっちゃんが泣きながら帰ってきました。

「どうしたの?」 「あーん、あーん」 「しく・・・・・・しく・・・・・・」2人2様に泣きじゃくっています。

「ねぇ、どうしたの? どっか痛いの? ねぇ、よっちゃんどうしたのか、はっきり言ってちょうだい。」

「あのね・・・・・・ひっく・・・・・・ひっく・・・・・・あのお・・・・・・フサ子先生とね、ひっく・・・・・・、公園でね・・・・・・ブランコ乗ろうとしたら・・・・・・ブランコひもでしばってあってね・・・・・・それでね・・・・・・乗せてくれないの・・・・・・それでね、九九言えたら乗せてやるって言われてね、バカブタ女って言ってね・・・・・・フサ子先生が怒ってね、九九言ったの。九九言ったから乗るよって言ったら、ブチャコ(フサ子ちゃんのあだ名)のくせに生意気だって言って乗せてくれないの。でね、ひっく・・・・・・、うっうっうっうわーーん!」 「あーん、あーん」

「泣いちゃったって・・・・・・、ねぇ、しょうがないなァ。ねぇ、ねぇ。誰がそんなこと言うの?ねぇ、誰?」

「わかんない! よっちゃん怖いんだもん。みぃちゃんとおねーちゃんに言いに来たの・・・。ひっく、ひっく、うわーん!!」

「よおーし!!」

きょこちゃんはよっちゃんの話で全部はわかりませんでしたが〔日本史にかがく花園学園〕の生徒たちの一大事と感じました。

 スゴイ勢いでひとっ飛びに児童公園までかけつけました。公園では、きょこちゃんのクラス1のワンパク坊主カンちゃんとフサ子ちゃんが取っ組み合っていました。

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