第十一話『きょこちゃんとシンデレラのお鍋』③

「こんな大人に愛った(あった)から」第十一話

きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。

転校2日目

「あらっ? どうしてみんな、きょこちゃんの真似っこしてくれないの?」

今日はきょこちゃんが席から立ち上がっても、だぁれも「はじめの1歩」を言わなければ、後ろについて席を立つ子もいません。

「あんた、そうとうばかだね。変なことば使うしさ、頭にリボンなんかつけちゃって、きどってるからさ、みんなあんたのことからかったんだ。洋服だってピラピラしてトンマみたいだ。」

昨日はムスッとした感じで一言もしゃべらなかったお隣の席の滝田房子さんが話しかけてきました。

「えぇっ? きょこちゃん、ヘンテコことばだって、よくお母ちゃんに注意されるけど・・・頭のリボン、お洋服に合っていなかったかしら?」

(やっぱり、水玉のにすればよかった)―――これは心の中で言いました。

滝田さんは続けて言いました。

「ばかだね。あんた、ほんとばか!! そうじゃなくて、あんたがトンマなトンチンカンだってこと。」

「わぁっ、あなたって、すんごい言葉ドシドシ言えちゃうのね!! ステキ~!!」

「ばーか!! アンポンタン!! 死んじまえ!!」

「死んじまえないけど、きょこちゃん、だんぜん滝田さんのこと気に入っちゃったわ。」

(キーンコーン、カーンコーン)

滝田さんは、他にも何か、また言ってくれそうだったけど、授業が始まってしまいました。

「ブタ」ってよばれた滝田さん

さっきから、図画の授業で画用紙を前にして、きょこちゃんはうっとりと空想にふけっていました。滝田さんや他の子供達は、セッセとクレヨンで絵を描いています。 「言葉づかいにきびしい、お母ちゃんのおばさまに滝田さんを会わせたら何て仰るかしら? もしかしたら、2~3回も心臓発作を起こして、小公女に出てくるミンチン先生のように、『おぉー』って倒れてしまうんじゃないかしら? うっふ・・・」 「おいっ、見ろよ。滝田の描いている金魚、滝田そっくり、ブタみたいだぞ!!」 きょこちゃんのうっとり気分をこわしたのは、男の子達でした。先生が、ちょっと席を外された時に、滝田さんを取り囲んでからかい出したのです。 「あら、そんなことないわ。とっても上手だと思うわ。」 「とっても上手だと思うわ。」 1人の子が、きょこちゃんの声を真似て言いました。 「ブタの味方すんのかよ!! お前もブタくさくなるぞ!!」 「ブタブタ子ブタ、お腹がすいた、ブゥ!! ブゥ!!」 「ブタブタ滝田、お腹がすいた、ブゥ!! ブゥ!!」 「ブタの滝田が描いてる金魚、ブタ金魚。」 「ブタブタブタブタ、ブタ。ブタブタブタブタ、ブタ。」 口々にはやしたてられた滝田さんは、真っ赤なお顔になりましたが、何も言いません。 そして、突然に真っ赤なクレヨンできれいに描いた金魚の上をグチャグチャに塗り出しました。 「あーっ、だめよ。だめ、だめ。」 思わず、きょこちゃんが止めましたが、滝田さんは「ウォーッ」みたいなうなり声を上げて、お机の上まで赤いクレヨンがはみ出ても、手を止めません。 ボキッ、クレヨンが折れました。 「あーあ、せっかく上手く描けてたのに、みんながふざけるから・・・だめねぇ。」 きょこちゃんは、ちょっと考えてから、自分のまだ何にも描いていない真っ白な画用紙を滝田さんの前に出しました。 「ねっ、これでまたステキな金魚描いて。」 「あーっ」 みんながびっくりしたことに、滝田さんは、きょこちゃんの出した画用紙をビリビリに破ってしまいました。 「あーあ、あーあ、しーらない。」みんなは、席に戻っていきました。 滝田さんは、お机につっ伏してしまいました。
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