「本気で美しくなりたい人」「健やかな身体でいたい人」の願いを叶えるために、きょこちゃん(京子センセイ)が普段からされているお話を中心に、お伝えしていきます。 京子センセイご自身が執筆された書籍の一部に加え、ご自身の長年の研究に基づく健康法や美容法、食事のレシピなどもお伝えしていく予定です。
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第十話『おじちゃんを飼ってください』④

「こんな大人に愛った(あった)から」第十話

きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。

おじちゃんの引っ越し1

そんなある日の昼休み、きょこちゃんがいつものように広場に行くとおじちゃんが荷物を全部持って、いつもの小さな土管に腰掛けていました。

「あらっ! お仕事に行くの?」

「あー、きょこちゃん、おじちゃんね、別のホテル探しに行かなくちゃならないんだ。どこかの工事で必要になったらしく、大きな土管、今朝クレーンでみんな持って行っちゃったから。」

見ると、大きな土管があった所だけ草が生えていないハゲ地になっているのが分かりました。

「ええっ! どこへ行くの?」

「さぁっ! 足の向くまま、気の向くままってところかナ。」

「すぐに、すぐに行っちゃうの?」

「いいや、夜に紙芝居屋が出来上がった絵をとりに来ることになっているから、それを渡してからだよ。」

「ふーん、いやだなあ、おじちゃんがどっかへ行っちゃうの。また遊びに来られる?」

「うーん、何とも言えないなァ、今は。」

きょこちゃんはがっかりして教室に帰っていきました。

放課後、学校の玄関を出ようとして掲示板の張り紙に気付きました。すぐにピーン!!とひらめきました。きょこちゃんは飛び上がってロケットのような早さで広場のおじちゃんの所へ駆けていきました。

「おじちゃん、ねぇ、おじちゃん! もうどこにも行かなくても大丈夫よ。ねえ、よかった! 早く!! すぐにきょこちゃんと一緒に来て!!」

おじちゃんは不思議に思いましたがきょこちゃんの勢いにつられて何か面白い気がしてついていきました。

行った先は!! さっききょこちゃんが出てきたばかりの小学校でした。きょこちゃんはおじちゃんを連れて真っすぐに教務室に向かいました。

ガラッと引き戸を開けて教務の先生のそばに行きました。教務の先生は元教頭先生で、定年退職をしたあと教務の仕事をされていました。子供と居るのが好きなので、といつも仰るやさしい先生です。

生徒たちは相談事やもめ事を、みんなこの先生のところへもっていってます。それだけ生徒たちから信頼されているんでしょう。そして、信頼は生徒たちだけからではありません。他の先生や父兄や地域の人たちまで相談を投げ掛けていましたから“よろず相談室”とご自分を評しておられました。

「先生!」

「あ、2年のきょこちゃんだね。どうしたのかな?」

先生はきょこちゃんと、その後ろに立つおじちゃんを見ながら聞いてくださいました。

「先生、玄関の所の掲示板に書いてあったでしょ? だからきょこちゃん連れてきました。このおじちゃんを飼ってください!!」

「えーっ!!」

思いもかけない成り行きに先生もおじちゃんもビックリ、暫くは口もきけませんでした。

「で・・・・・・、どうして・・・・・・?」

「あのね、このおじちゃんを飼っていたんだけど、住んでいた土管ホテルが無くなっちゃって、どこかへ行かなくちゃならないの。でもね、掲示板に動物小屋で飼うもの募集って出ていたでしょう? だからきょこちゃん、ひらめいたの。ウサギやニワトリじゃぁ前みたいに野犬に取られちゃうじゃない。でもこのおじちゃんなら、ずーっと大丈夫ですもん。このおじちゃんはね、お絵描きがとぉーっても上手なのよ。」

「ちょっ、ちょっと待ってね。ゆっくりお話しを聞きましょう。」

先生は椅子を2人にすすめてご自分も座られました。きょこちゃんは更に話しました。

お父さんが人に騙されてもう2度と誰も家に連れ込まないと宣言したことまで、ぜーんぶ話しました。

「だって話さないとおじちゃんを家に連れて行けない理由が分からないでしょ?」

どのくらい時間が経ったのでしょう、もう校内には誰も残っていません。

「きょこちゃん、よぉく分かったよ。でもね、人間が人間を飼うなんてできないんだよ。してはいけないんだよ。」

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