「本気で美しくなりたい人」「健やかな身体でいたい人」の願いを叶えるために、きょこちゃん(京子センセイ)が普段からされているお話を中心に、お伝えしていきます。 京子センセイご自身が執筆された書籍の一部に加え、ご自身の長年の研究に基づく健康法や美容法、食事のレシピなどもお伝えしていく予定です。
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第十話『おじちゃんを飼ってください』③

「こんな大人に愛った(あった)から」第十話

きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。

なんてこと?! 夜逃げ?!

ある朝気がつくと、2軒ともいつの間にか夜明け前に引っ越しをしていて、仕事場はもぬけの殻になっていました。みんなきつねにつままれたようだと思いましたが、その謎はそれから数日たって解けました。

きょこちゃん家の地主さんが都の立ち退きの話しに来たからです。立ち退きの話しを、どこかで入手した山下さんと早川さんは、2人で相談して地主さんの所へ行きました。そして自分たちは5年間も家賃を払って住んでいたから居住権があると「嘘」を主張して、もしすぐに立ち退き料を支払ってくれれば出て行くけれども、大家(きょこちゃんのお父さん)と話し合うなら自分たちには支払ってくれないだろうから、その時はバリケード作ってでも居座るから、などと言って立ち退き料を地主さんに請求したそうです。

『年老いた父親を路頭に迷わすのは忍びないとも言って泣かれてなァ』とも地主さんは話していました。

後になって本当の事情が分かると地主さんは余計困ってしまいました。立ち退き料は既に決まっていて、その2/3は山下さんと早川さんに支払ったのですから、1/3しか残っていません。これできょこちゃんの家から訴えられたり、立ち退きを拒まれたりすれば地主さんの責任になってしまいます。きょこちゃんのお父さんはすぐに決心しました。

なんの保障もなく自分に土地を貸してくれた地主さんを困らせることなんてできない。だから1/3だけでもありがたく思って引っ越しをしようと。お母さんは泣いていました。

「悔しいわねぇ、電気もお風呂も何もかもこちらのものを使っておいて。来た時はあんなに感謝して泣いていたくせに・・・・・・。5年も世話になっておきながらどうしてそんなことができるの!!」

「おれは戦争に行って生きて帰ってこられた。でも大勢の人たちは死んでいったんだ。その死んだ人たちの分を今生きているんだから、その人たちへの供養だと思ってこのことは忘れよう!!」

そうは言っても今まで育てていた大工の見習いの人たちを連れて行けないので、他の工務店に預けなければならなくなった時、決して泣き言を言わないお父さんが「これからは犬でも猫でも生き物は金輪際、家に連れてこない!!」と宣言したのです。

「だからね、おじちゃん、おじちゃんのこと、家につれて行けないの。ごめんなさいね。」

「ふぅーっ!」

長いお話を聞いていて、話の結末が自分と結びつくとは思ってもいなかったおじちゃんは、一つ大きく天に向かってため息をつきました。

きょこちゃん、心配なんです

「きょこちゃんのお父さんは立派な人だね」

「うん、きょこちゃんもそう思うの。でもね、親戚やみんなは救いようのないお人よしで馬鹿がつく、なんて言うのよ。」

「ハッハッハッハッハッ。きょこちゃん、いいかい? そんなこと信じちゃだめだよ。騙されたお父さんが悪いことなんて少しもないんだから。恩を仇で返した、騙した人たちが悪いのさ。」

「うん!! ただね、おじちゃんのお家がないのが心配なの・・・・・・。」

「なあに、平気、平気。気楽な家なしを選んだのは自分だもの。心配しなくっていいんだよ。」

「あっ! そうだ! ひらめいた!! いいこと思いついたわ。おじちゃん。みんなは子犬や子猫を飼っているのに、きょこちゃんの分はないの。だからね、おじちゃんを飼ってあげたいの!!」

「う~ん。」

思わぬことの展開におじちゃんは一瞬唖然としましたが、次には

「アッハッハッハッ。こりゃあいい! こりゃあ、おもしろい!!」と、ひざを叩いて笑いころげました。

「あらっ! 何がおかしいの。きょこちゃん心配しているのに。」

きょこちゃんはちょっとツンとして言いました。

「アッハッハッハッ! ごめん、ごめん、ここ何年もこんなに笑ったことなかったよ。あんまり嬉しくて・・・・・・あんまりおかしくて・・・・・・アッハッハッ・・・」

「じゃぁどうするの?」

「アーハハ・・・・・・、よろしくお願いします!」

おじちゃんはまじめな顔に戻って手を差し出しました。

「ハイッ! よかった! これからきょこちゃん、責任を持っておじちゃんを飼いますからね。」

きょこちゃんも手を差し出して2人はしっかり握手をしました。

それから1ヶ月は夢のように楽しく過ぎていきました。おじちゃんは朝と昼は仕事をして食べて、夜はきょこちゃんの持ってきてくれた給食を食べると言ってくれたので、きょこちゃんはおじちゃんのことを思って、心配してご飯が食べられなくなることがなくなりました。そして、すっかりおじちゃんを飼っているつもりになっていて、家の人たちに分からないように、こっそりと鏡やクシを持っていったりしていました。自分が飼っている以上、誰よりもキチンときれいにしていて欲しいと思ったからです。

おじちゃんは昼の間、土管ホテルにいる時はほとんど絵を描いていました。それも紙芝居用のものが多かったので、ストーリーを説明してもらうのが何より面白く、きょこちゃんは時々は学校帰りにも立ち寄っていました。

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