第九話『きょこちゃん、よっちゃん、汽車に乗る』①

「こんな大人に愛った(あった)から」第九話
きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。
きょこちゃんはお姉ちゃん
夏休みに入った翌日、きょこちゃんはよっちゃんを連れて田舎のおばさんの家に行くことになっていました。よっちゃんの下にもう1人妹が生まれてお母さんは大忙しでしたから、田舎に行くのを楽しみにしていたのは、きょこちゃんとよっちゃんだけではありませんでした。
「去年は1人で行ったけど今度はよっちゃんを連れていくので責任重大だわ・・・・・・。」
ときょこちゃんは思っていました。
リュックに夏休み帳をしまいながら、きょこちゃんはとっても大人になった気分でいました。よっちゃんは身体が弱くて荷物は持たせられませんから、きょこちゃんはリュックの他にボストンバッグも持たなくてはなりません。よっちゃんに必要な物をせっせとしまっていると、
「これも、もってくの」と、よっちゃんがお人形をあるだけ抱えてやってきました。8体はあるようです。
「だあめっ! どれか1つだけにして、ほかの物が入らなくなるから。」
「やんっ! みーんな、もっていきたい。」
「ダメといったらダメっ!」
「あーん! もってく~~。」
「ほらっ! ダメじゃない、きょこちゃん、よっちゃんを泣かせちゃ。」
(だってよっちゃんすぐ泣くんですもん)
「だって・・・・・・だって・・・・・・よっちゃんお人形、ぜんぶ持っていくって聞かないんですもん。」
「それを上手にあやすのがお姉ちゃんでしょ? 田舎に行ったらお母さんいないんですからね。よっちゃんを大事に泣かせないようにしてね。」
「ハーイ。」
結局よっちゃんは大きなお人形を1人ヒモでおぶって、小さなお人形をもう1人手に持って行くことにしました。他の子(お人形)たちは汽車で連れて行くと迷子になるかもしれない、とあやした結果でした。
リュックをしょって麦茶を入れた水筒をたすきがけにして、ボストンバッグを持ったきょこちゃんと、お人形のお母さんだと思っているよっちゃんは、上野から汽車に乗って田舎のおばちゃん家(ち)に向かうために家を出発しました。上野駅まではお母さんが来てくれましたが赤ちゃんがいるのですぐに戻らなくてはなりません。
「さぁ、いってらっしゃい!! きょこちゃん、よっちゃんをお願いね。」
「はいっ! 今年はもう1年生ですもの。大丈夫よ。ここで行ってきますを言ったら、お母ちゃん、帰ってもいいからね。」
そう言うきょこちゃんに励まされた気持ちでお母さんは帰って行きました。
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