第八話『きょこちゃん、学校に行く』②

「こんな大人に愛った(あった)から」第八話

きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。

耳までさけた大きなお口

大きな農家の引き戸を開け、高い敷居をまたいだお母さんときょこちゃんは、2人とも同じようにドキドキしていました。つないだ手が冷たく汗ばんでいました。

「ごめんください!!」

お母さんが奥に向かって、声をかけました。

「ごめんくださーい!! どなたもいらっしゃらないのかしら? ごめんく・・・ださい。」

その時、物かげからノソリと出てきた動物に、2人ともドキリとして動けなくなってしまいました。それは子牛ほどもあろうかと思われる、2匹のシェパード犬でした。 2匹は、別に怒るでもなく(少し小さな方は、アクビをしました)きょこちゃんのそばに
よって、クンクンにおいをかいでいます。

―――後でお母さんが、
『あんなに恐かったことないわ。叫び声さえ上げられなかったんですから・・・脇の下から、冷や汗が流れたわ。』
―――と、お父さん達に話しました。―――

トウモロコシの種を包んでいた土のついたエプロンは、特に念入りにかいでいるようにきょこちゃんには思えました。 しばらくすると、犬達は土間にベッタリ座ってきょこちゃん達をながめ始めました。犬達が座ると、ちょうどきょこちゃんと目が合うので、きょこちゃんも犬達と同じように、よぉ くお顔を見ることができるようになりました。

「まぁ、2人 .. とも“赤ずきんちゃん”に出てくるオオカミさんみたい!! 耳までさけたよ うな大っきなお口だこと。」

赤ずきんに出てくる悪いオオカミは、『まぁ、大きなお口』と言うと、『お前を食べるためだ!!』と言って、赤ずきんを飲み込んでしまいましたが、この2人 .. は、同じように大きなお口ではあっても、その心配はなさそうでした。なぜなら、その大口の上の眼がとっても穏やかでやさしそうだったのです。何だか、誰かに似てでもいるかのように、なつかしい気持ちがわいてくるようです。

「きっと、あなたはお母さんなのね。」

きょこちゃんが、大きい方の犬に話しかけた時です。

「そいつは、オスだ!!」

戸口から、おじいさんが入ってきました。手に買い物袋を提げています。

「まあ、お留守だったんですのね。申し訳ございません。勝手に入ってしまって・・・、戸 が開いたもので、てっきり、いらっしゃるかと・・・」

おじいさんは、よいっしょと買い物袋を上がりかまちに置きました。犬達は、はっはっはっ
はっといいながら、おじいさんにかけ寄るとシッポをパタパタ振り、おじいさんをなめたり、買い物袋のにおいをかいだり、急に元気いっぱいになったみたいです。

おじいさんは、2匹に「まてっ!!」、「お座り!!」と言ってから、

「番犬を置いている時は、開けっぱなしにしても大丈夫だもんでね。」

「番犬て、お留守番すること?」

「そう。悪いことする奴やドロボーがきたら、カブッと噛みついて放さない犬種なんだ。」

(ホッ!! じゃあ、この人 . 達には、きょこちゃんがドロボーじゃないって分ったんだわ。)

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