「本気で美しくなりたい人」「健やかな身体でいたい人」の願いを叶えるために、きょこちゃん(京子センセイ)が普段からされているお話を中心に、お伝えしていきます。 京子センセイご自身が執筆された書籍の一部に加え、ご自身の長年の研究に基づく健康法や美容法、食事のレシピなどもお伝えしていく予定です。
スポンサーリンク

第七話『きょこちゃん、田舎に行く』⑧

「こんな大人に愛った(あった)から」第七話

きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。

葉っぱをまちがえてしまったの・・・

この辺りは昔、名主のおじさんの家を中心に何軒かの小作農家が集まって集落を作っていました。今でも当時の名残りで元小作農家の人たちはおじさんの家のことを“お頭(かしら)の家”と呼んで大切に思ってくれています。

ですからたとえ小さな女の子でも“お頭の家”に来ているお客人のことは全員が知っていて礼節を保ちながら接してくれていました。

そんな訳できょこちゃんを遠目に見て農作業をしていた仁作さんはきょこちゃんに声をかけませんでした。きょこちゃんはお散歩中に仁作さんの畑を見て大喜びしました。

遠くの仁作さんに気付いて「コンニチワー」と声をかけましたが、仁作さんは帽子を取って挨拶を返してくれただけで、こちらには来ませんでした。

「わぁっ!! こんなにたくさんのクローバー!! うさぎさん!! クローバーをたくさん食べて赤ちゃんうさぎを産むのよねぇ!」

クローバーはどっさり生えていたので、きょこちゃんは喜んでクローバーを摘み始めました。クローバーがうさぎの大好物だと本で読んで知っていたのが嬉しくてたまりません。本の中の絵とおんなじ瑞々しいクローバーがここにはどっさりあるので(毎日とりに来よう)と、きょこちゃんはホクホクしながら考え、両手いっぱいに抱えてうさぎ小屋まで運びました。

「うさぎさん、おいしいクローバーですよ!! どっさり食べてかわいい赤ちゃんを産んでね。」

うさぎは本の中の絵のようにクローバーを手で持っては食べませんでしたが、赤いお目目でモグモグモグモグクローバーを美味しそうに食べました。

夕食の支度のためにみんなより早く帰ってきたおばさんはうさぎにエサをあげようとしてびっくり!! してしまいました。きょこちゃんが何回もせっせとクローバーを運んでいたので、クローバーが山のようにうず高くうさぎ小屋の前に積んであったからです。

「なんとまぁ!!」

「あっ! おばさんお帰りなさいっ!!」

「きょこちゃん、その・・・その・・・・・・。」

「これ? クローバーよ、おばさん、うさぎさんおいしいって食べるの。」

「なんと!! まぁ!!」

きょこちゃんはおばさんがあんまり喜んでいないことや、ただただ驚いているのを感じて

「おばさんどうしたの?」

と聞きました。

「なんと!! まぁ!! これは落花生の苗だよ!!」

「クローバーじゃないの?」

「落花生だよ。クローバーじゃなく、これは!! 落花生を作っている所っていえば上の仁作さん家(ち)だなぁ。きょこちゃん、どこでこれとったの? 上か? やっぱり・・・・・・
で? 誰か人は見ていなかったかい?」

「う~んと、おじいさんがいたわ。」

「おじいさん? あーあ、仁作さんだァ。何も言われなかったの?」

「ハイ?!」

「どおれ、夕飯の支度をしたら、謝りに行っておこう。」

「おばさん、きょこちゃん、何か悪いことしちゃったの?」

「まぁ、心配しなくていいよ。都会っ児で知らなかったんだからね。ただね、これは仁作さん家(ち)の大事な売り物にする落花生といって、南京豆の苗だったのさ。」

きょこちゃんはシュンとして夕食前におばさんと一緒に仁作さんの家に行きました。

失敗は夕涼み会のもと

「まぁ、これは、これは、お頭の奥さん。」

「仁作さん、こんばんは。他でもないんですが・・・・・・。今日の午後、家に来てる妹の子がお宅の畑の落花生の苗をうさぎに食べさせるクローバーと間違えて、取ってきてしまったんですよ・・・・・・。ですからお詫びにこうして伺った次第で・・・・・・。」

おばさんは言いにくそうに説明し始めました。

「おじいちゃん、ごめんなさい。おばさんはちっとも悪くないの。きょこちゃんがね、うさぎとクローバーのご本に出ていたクローバーと、おじいちゃんの大切な落花生とを間違えちゃったの。だってそっくりだったんですもの・・・・・・。」

「いや、いや、わしもこの子が落花生を摘んでいるのを見たんですがね、子供の摘む量なんぞたかが知れてるし、何より、お頭の客人だと知っとったもんで・・・・・・うっちゃといたんですから、どうか気にしないでください。」

「でもそれでは申し訳ない。どうか、苗の代金を弁償させてくださいよ。」

「とんでもない!! どうか気にしないどいてください、奥さん。」

その時、2人の女の子たちが笑いながらはしゃいで家の中に飛び込んできました。

「これっ!! お頭の奥さんがみえているのに!! 申し訳ありません。」

「ああ、お孫さんたちね。下の紀美ちゃんは確かうちのきょこちゃんと同い年じゃない?」

「うちの紀美は6つです。上の初音が9歳です。こらこら、隠れんでもいいから、挨拶しなさい。」

2人の女の子はきょこちゃんに気付くと恥ずかしそうに仁作おじいさんの後ろに隠れてしまいました。

「これって!! ご挨拶は?!」

2人は本当に恥ずかしそうに、ちょんちょんという感じでおじいさんの後ろから顔を出して、小さな声で「こんばんは」と言いました。

2人ともおかっぱ髪で色の白い可愛い少女たちです。真っ赤なほっぺがピカピカしています。

「上の初音が新家(にいや)の赤ん坊を子守りしているので、風呂を使わせてもらって帰ってきたところです、奥さん。」

「そう、このきょこちゃん、東京から泊まりに来てるんだけど遊びに来てくれない?」

「はいっ! 奥さん。」

答えたのは仁作さんで2人の少女は相変わらず恥ずかしそうにクスクス笑うだけです。

「ところで、さっきの話の続きですけど・・・・・・。」

「いえ、本当にいいんです。また苗つけしますから。」

「ほんとに? それじゃぁ・・・・・・、お言葉に甘えて・・・・・・。ただ、これはこちらの家で使ってください。」

おばさんが持ってきた袋から出したのは小豆でした。

「そんな、もったいない。これは受け取れないです。」

「こまったわねぇ、それじゃぁこうしましょう。私が小豆を煮ておくから、明日の夜でも家にみんなでいらっしゃい。夕涼みしながら一緒に食べましょう。」

「それこそもったいないことで・・・・・・。」

「お孫さんたちも、みんな連れていらっしゃい。」

「わぁーい!!」

と、きょこちゃんは思わず謝りに来たのも忘れて飛び上がって喜びました。なぜなら、東京のきょこちゃんの家の近くには女の子のお友達が住んでいなかったので、新しいお友達がふえた気分だったからです。

そんなことできょこちゃんの大失敗は明日の夕涼み会につながっていきました。

メニューを閉じる