「本気で美しくなりたい人」「健やかな身体でいたい人」の願いを叶えるために、きょこちゃん(京子センセイ)が普段からされているお話を中心に、お伝えしていきます。 京子センセイご自身が執筆された書籍の一部に加え、ご自身の長年の研究に基づく健康法や美容法、食事のレシピなどもお伝えしていく予定です。
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第八話『きょこちゃん、学校に行く』③

「こんな大人に愛った(あった)から」第八話

きょこちゃんの「愛」たっぷりのストーリー。

おじいちゃん、おこらないで

「ところで、こんな時分、何の用かな?」

ホッとしたのもつかの間、また2人ともドキンとしてしまいました。おじいさんが、近所で 評判の鋭い眼光でギロリと2人を見ながら聞いたからです。

「あのぅ・・・」

お母さんは縮こみながらふろしきを開けて、ザルに入ったトウモロコシの種を出しました。

「・・・・・・」

怒り出すと思ったおじいさんは、無言です。

「本当に申し訳ございませんでした。」

お母さんは、今にも消え入りそうなドキドキ声で謝りました。

「どうして?」

おじいさんがおっかない声を出します。

「ごめんなさい!! おじいちゃん、お母ちゃんは悪くないの。お母ちゃんに怒らないで、きょこちゃんが悪いの。うぅん、きょこちゃんは悪いって知らなかったの。お豆を摘むことが悪いことだって、知らなかったの。阿部ボクちゃんと風船、追っかけててね、おじいちゃんの畑に入っちゃったの。その時はおじいちゃんの畑って知らなかったのよ。それで、最初はきょこちゃんね、お母ちゃんの大好きなお豆が落っこってると思ったんですもん。お母ちゃんのおなかには、小っちゃな、小っちゃな赤ちゃんがいるの。それで、おかあちゃん、ゲーゲーになっちゃうの。お母ちゃん、お豆持っていってあげたら、どんなに喜ぶかと思ったの。でも・・・でも・・・、お母ちゃんびっくりして、喜ばなくて・・・、それでもって、八郎おじちゃんが、おじいちゃん、すんごく怒って、きょこちゃんのこと、頭からムシャムシャかじるかもしれないって言ったのよ。でも、おじいちゃん、すんごく怒らないでちょうだい。きょこちゃんを怒るとね、お母ちゃん、泣いちゃうの。泣いちゃうと、赤ちゃん、泣 き虫になっちゃうんですって、赤ちゃんが泣き虫になっちゃったら、いやですもん。 お父ちゃんが、きょこちゃんご飯食べない時、怒ったらね、お母ちゃんが泣いちゃったの。だから、きょこちゃん、悪くなかったけど・・・・・・こうさんしちゃったんだから・・・」

一生懸命のあまり、きょこちゃんは息もつかずに話しました。

「なんと、こんな小さい子にしちゃ、弁が立つねぇ。」

一気にしゃべって息をつこうと、きょこちゃんがひと休みした時、おじいさんはようやく口 をはさめました。お母さんは今にも倒れそうに青いお顔です。

「おじいちゃん、お母ちゃんをそこにお座りさせてくださいな。」

「おおっ」

と言って、上がりかまちをゴツゴツした大きな手で、ここにという合図のように、パンパンとはたいたおじいちゃんは、さっきほどおっかないお顔ではありませんでしたが、

「おじいちゃん、ごめんなさい。もうしませんから。」

と、もう1度謝るきょこちゃんに、

「ところで、さっきの話だが、どうしてあんたは悪くないのにごはんを食べずに怒られたんだ?」

「あのね、きょこちゃんね、あんたじゃなくて、きょこちゃんなのよ。―――サブちゃんや いろんな人の前を通ったごはん、いやだって言ったの。」

「どおして?」

「だって・・・みんな、きょこちゃんのごはん、おいしそうだナって見るじゃない。」

「何でいけないんだ?」

「だって、だって、おいしそうだナって、見たごはんには、みんなのおいしそうだナがくっついちゃうでしょ。だから、きょこちゃん、食べられないの。」

「理屈だな。」

「申し訳ございません。初めての子ですもので、私が神経質に育てたのかもしれませんわ。 主人によく叱られるのですけれど・・・何でこの子がむずがるのか、よくわからなくっ て・・・・・・」

「きょこちゃん、むずがらないもん。」

「申し訳ございません。どういう訳ですか、この間までは外でいっさい遊ばなかったんですのに、久しぶり遊びに出たと思いましたら、こんなことをしてしまいまして・・・」

お母さんはもっと青い顏になって、おじいさんに説明しました。

「どして、外で遊ばなかったんだ?」

「だってお外はぜーんぶ、アリさんのお国なんですもん。でも、土の下で見えないでしょ、きょこちゃんが歩いたらおやゆび姫さんともぐらのおくさんのお家も、つぶしちゃうかもしれないじゃない。」

「ほーぅ、じゃ、どして今度は、外で遊べるんだ。」

「八郎おじちゃんがね、人間が歩くと地面の下の世界は、電気がおきて明るくなるんだって、 教えてくれたの。」

―――お母さんは居心地悪そうに、もじもじしながらきょこちゃんがこのところ、足をトントン1歩ずつする、変な歩き方を思い出していました。きっと、地下の世界を明るくしてる つもりだったに違いありません。

「申し訳ございません。つまらない話を長々とお聞かせしてしまって・・・この子は、聞き 手さえいれば、1晩中でも話し通すような子ですので・・・。」

「あら、1晩中なんてお話したことないもん。もう、小さい子の起きているお時間じゃありませんって、いつも寝なさいって、言われちゃうでしょ。」

「きょこちゃん!! こちら様もお忙しいのに、おわびに伺ったんですよ。本当に申し訳ございません。しつけが行き届きませんで―――。」

「奥さん、どうやらこの子が悪さしたんではなさそうだ。それに、あんたのしつけのせいでもないようだね。まあ、トウモロコシの方は、まだ今なら、もう1度種をまけば、少し出来は遅れるが、さわりないと思うし―――。」

「ほーっ。」

お母さんは、目にみえてほっとしたようです。

「おいっ!! どうだ、きょこちゃん。明日、おじいちゃんとトウモロコシの種まき、するか? よぉく手伝えば今度のことはよかったことにするけど、どうだ?」

「はぁい」

元気よく答えたきょこちゃんに、犬達もパタパタとシッポを振って、話の成り行きに賛成のようです。

「ねぇ、おじいちゃん。この人達 .. のお名前教えてくださいな。」

「大きい方がゲンクロウ。・・・小さい方がイッカだ。」

名前を言われた犬達は、うれしそう におじいさんの所にすり寄ってきました。 おじいさんの眼から、さっきまでの鋭さはすっかり消えて、犬達が可愛くってしょうがない、という風になでなでしています。

「それでは、明日、何時ごろ伺わせたら。」

「何時でもいいよ。ここに来たら、一緒に畑に連れて行くから。」

おじいさんの家からの帰り道、きょこちゃんはうれしくって、うれしくって、ピョンピョン跳ねながら歩いていましたが、お母さんはとっても浮かないお顔でした。 まだ、ドキドキが全部直っていなかったのと、おわびに持って行った白砂糖を渡すのをすっかり忘れていたのに気付いたからです。

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